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青森市北国型集合住宅国際設計競技・・雪のエネルギーを利用する    提案日:2001.01

Concept 

<配置計画>
敷地の約80%をフラットな人工地盤で覆い、その上に細長い板状の住棟を載せた。それにより人工地盤の上部エリアは、太陽光が降り注ぐ南側の日向(ひなた)部と、それと対照的な北側の日陰(ひかげ)部とに分かれる。日向部は人々の日常的なアクティビティを提供する場所となり、日陰部は居住環境をサポートするためのサービス的な機能を担う。地上階には敷地の東西を貫通する3本の主動線があり、それぞれ居住者用の車路(南端)、来訪者およびサービス用の車路(北端)、そして居住者・来訪者双方のための歩行者用プロムナード(中央部)となっている。トップライトのある中央プロムナードは建物内のすべての施設へのアクセス経路となっている。地上階からスロープと階段で接続する2階には、デイケアサービス、児童館、保育園があり、それらに付属した屋外オープンスペースは遊び場やグランドとして使用される。

<住戸計画>
3~12階は住戸専用フロアで、3階には車椅子を考慮したフラット型住戸(Aタイプ)、4階以上には1層半のメゾネット型住戸(C)がある。いずれも南北両面から採光と通風が十分に得られ、さらに南面には幅広いバルコニーがあり、一部2層吹き抜けとなっている。2階は居住者専用のフロアで、集会室、ラウンジ、トランクルームなどがある。またプロムナード上に架かるブリッジで、デイケアサービス・保育園・児童館などの施設へ直接アクセスできる。

<設備計画>
建物の全周には融雪溝が掘られ、車路および敷地周辺部の雪を廃棄する。またグレーチング下に焼却炉の廃熱を通して融雪を促進する.
一方、人工地盤および屋根の上の雪は除雪せず、そのまま積もらせる。融雪水は基礎梁間のピットに蓄えられ、1・2階施設の冷却水として使用される。人工地盤上の北側部分は年間を通して日陰であるため、そこに貯まった雪は長期にわたり融解されずに残る。これを利用して、積雪によって覆われた各住戸用のトランクルーム、およびレストランに隣接する1階倉庫が、積雪期には雪室(ゆきむろ=冷蔵庫)雪室(ゆきむろ=冷蔵庫)として機能する。

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