自宅で仕事をする脚本家とその家族の住宅計画。
6000冊以上を収納する大きな書庫は仕事場の一部というより,家族の図書室となるような位置づけであるため,その配置による各室の関係が問われた。
南側に大きな庭を確保できるので,家族の団欒の場は庭と連続する1階南側としたことで,夫婦の仕事場と寝室は団欒空間と分離すべく2階に配置した。そして書庫はその中間部分である1階の階段と連続する空間とした。
この家の最大の特色は,親の仕事場が家の中にあるということで,家族にとってその存在による日常が記憶の中に残っていくことになる。この家の中にはそんな家族の記憶が積み重なっていくのだということをイメージしていくと、この家の形もどこか私たちの記憶の中にある「なつかしい家」の図を結んでいければ幸いである。
記号としての家型が,その過程をシンボル化していくのではないかと思っている。