更田邦彦建築研究所

計画敷地は，ＪＲ宇都宮駅に程近い幹線道路に面した商業地域に位置している。
建物のボリュ－ムを設定する初期の時点において，建蔽率・容積率に準じた“建築面積・延床面積の最大限確保”という土地の不動産資質に基づく計画は，最初から対象外とした。
夫婦で歯科診療所を営んでるクライアントにとって、その上に賃貸物件を抱えて事業化することに対する煩わしさもあるのだが、内部化された床面積の広さに豊かさを求めるのではなく，建物の回りに発生している外部空間（近隣建物との間に距離を設けるための空間）に豊かさを見いだそうという考えに基づいている。
よって，高さが１５ｍ～２５ｍほどの近隣建物に囲まれている空間を，計画建物の立体的なフィールドとして意識し，全面道路の開放された空間に開きつつ建物全体をその立体フィ－ルド中に埋没させた。
そのようにして設定された環境においては，中空に設定された屋上庭園が必然ともなる。