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photo:Yuji Satoh

アビタ戸祭・・人工地盤でつながる戸建て住宅群    竣工日:2000.03

岩下泰三氏、岩岡竜夫氏との共同設計
所在/栃木県宇都宮市  用途/専用住宅4軒(賃貸後分譲)
構造・規模/鉄骨造+木造 2階建
敷地面積/999.47m2(位置指定道路127.85m2含む) 延床面積/563.91㎡(一戸あたり約141㎡)
建築面積/384.08㎡(一戸あたり96m2)
地域・地区/第2種中高層住居専用地域 指定なし

Concept 

この計画は、約1000m2の敷地に、新規の位置指定道路と将来分譲可能な4軒の戸建て賃貸住宅を作るというものである。敷地には、この地で30数年育ってきたたくさんの木々があり、建物以上に残されるであろうこの魅力的な環境には、今後の様々な状況に応じて変容していく、有機体のような建物でしか生き残れないように思えた。そこでそのような建物には、基本となる骨太の骨格が必要であると考え、人工地盤という第二の地盤を敷地全体にわたってセットすることにした。それは、これまで戸建て形式が固定化してきた<ボーダー>という意識を取り払い、各戸が敷地全体の環境を共有できるようにするものであり、建物が変容していくのを容認する基盤となるものである。人工地盤上(2階)に、各住戸の建物を点在させたのは、そのための初期設定である。 このような作り方は、集合住宅のあり方として、<所有>という意識を抑え<共用>のしくみを作ることで、集まって住むことの合理性を見直そうというソフト面での提案に起因している。しかし、その<共用>のしくみというのは、単純に共用スペースを固定化すれば機能するというものではない。そこに人や家族が住んで暮らすという時間が介在してこない限り、そのあり方が見えてこないからである。そこでこの計画では、あくまでもプライベートな領域の中に、住人のみが通過できる曖昧な外部動線を設けることで、その使われ方はその住人に委ねるといった、固定化しない共用の場を作ることにした。その曖昧で何となくつながっているという外部は、住人の意識や選択によって、<プライベート>になったり<コモン>になったり、その性格が変わる。それによりその外部空間や内部空間までもが変容していくことになるだろうし、この建物はそれを容認することで(人工地盤上は増築可能としている)、状況の変化や環境の変化に対して、ルーズに対応できるものになっている。

掲載誌/SD'99.12 新建築'00.04 建築技術'00.06 住宅建築'00.09 こんな家に住みたい'01.12 建築文化'01.06 NAVI'02.03
著書/くうねるところにすむところ 11  子どもたちに伝えたい家の本 「家と土地をうけつぐ」(株)インデックス・コミュニケーションズ

注:このサイトは故更田邦彦氏のサイトの記録を保存したものです。著作権等にご配慮のほど、よろしくお願いします。